宗澤政宏がお届けする、社会貢献に関する紹介

日本写真映像専門学校を卒業した人々57

【要約】

この記事では、宗澤政宏氏が運営に携わっている日本写真映像専門学校の卒業生の活躍をご紹介しています。

 

【はじめに】

宗澤政宏氏が運営に携わっている日本写真映像専門学校は、長年にわたって写真界に数多くの優秀な人材を輩出してきたことで知られています。

今回も、過去の記事に引き続いて、そんな日本写真映像専門学校の卒業生のなかからピックアップして、その方の活躍をご紹介していきます。今回ご紹介するのは、梅佳代さんです。

 

【2つの写真集を発売した梅佳代さん】

日本写真映像専門学校の卒業生である梅佳代さん。2016年12月には「白い犬」、2017年3月には「ナスカイ」という写真集を発売しました。石川県出身の梅佳代さんが地元である能登の写真集を発売してから4年が経ち、久しぶりに発売となった作品となりました。それぞれ犬と男子高校生をテーマにした作品からは、日常の何気ない瞬間を切り取る梅佳代さんらしさを残しつつも、新たな変化も見えてきました。

 

【実家のりょうを撮影した「白い犬」】

2016年12月発売の「白い犬」は、日本写真映像専門学校に梅佳代さんが進学した18歳のとき、久々に帰省した実家で飼育されていた犬「りょう」が主人公となっています。梅佳代さんの弟が野球部の寮で拾ってきたことから、名前が付けられたそうです。もともと梅佳代さんは動物が苦手で、りょうと会った当初のころは、枝で触っていたといいます。

 

梅佳代さんの作品のなかに、しばしば登場してきたりょう。とぼけた表情から愛くるしさが感じられ、ひそかに人気を集めていました。「白い犬」でも、扉の隙間から顔を出したり、元気にジャンプをしたりとかわいらしさは健在。その一方で、闇に向かって威嚇をするシーンなどもあり、ただのペットではないということが伝わってきます。野生動物の写真家にあこがれを抱いているという梅佳代さんは、今回、自分らしいやり方で犬を発表しようと思ったそうで、写真集のタイトルもあえて一般名詞にしました。

 

物語を感じるようなシーンも多いのが特徴で、たとえば夕暮れ時に、遠くを見つめるカットの後に、梅佳代さんの祖母の葬儀後に、仏間を歩くりょうの姿が切り取られています。遠くを見つめるカットが撮影されたのは、祖母が亡くなった当日でした。

 

りょうは、2015年の秋に突如姿を消しました。それ以降、りょうが戻ってくることはありませんでした。2度と撮ることは出来ないのだという思いに背中を押されて、今回写真集にまとめることになったそうです。

 

【男子高校生の日常をとらえた「ナスカイ」】

2017年3月発売の「ナスカイ」も、撮影の対象が無くなることをきっかけに出版することになりました。「ナスカイ」の舞台となったのは、全寮制の男子校。東日本大震災で被災し、栃木から東京に移って授業を続けてきましたが、栃木に戻ることを断念し、2017年3月に廃校となりました。

 

梅佳代さんが高校とつながりを持ったきっかけは、震災前の2010年に那須高原で開かれた芸術祭の取材でした。もともと中高生の男子に注目していたという梅佳代さんは、寮生活を6年間続ける男子校という点にも興味を持ち、東京に移ってきてからは足を運ぶようになっていました。

 

写真集では思春期の男子らしい変なポーズだけでなく、すました表情も見られます。「自意識過剰すぎるところが楽しい。距離感が好き」と語る梅佳代さん。同じ子を撮影していても、中学時代と高校時代では表情が大きく変わることもしばしばで、「男になっている!」と感じることもあったそうです。

 

【少しずつ作風が変化してきた梅佳代さん】

「白い犬」と「ナスカイ」に共通して言えることは、日常でとらえられた瞬間の面白さのなかに、対象物のありのままの姿をとらえたカットが混じっているという点。梅佳代さんの代名詞ともいえるテンションの高い写真や、パッと見て感じる面白さとは異なる、新たな作品の幅とも言えます。「大人になると『何事も、なんでもあり』みたいになってくる。一度、すべてをありにして、結局どうなるか。変化を怖がらなくてもよい、楽しみにしている」と梅佳代さんは語っています。

 

【さいごに】

日本写真映像専門学校と宗澤政宏氏はこれからも個性的な写真家を育て続けることでしょう。